f丸の生態・デイリー

よく本を読んだり、たらたらかんがえごとをしている人のブログです。

基本的に毎日更新しています。
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千年の祈り (Shinchosha CREST BOOKS)
評価:
イーユン・リー
新潮社
¥ 1,995
(2007-07)
息を飲むような名作短編集、その形容がぴったりでしょう。

「千年の祈り」この短編集に収録されている総ての小説には、とても濃厚な
生活の一場面がほんの20〜30ページに濃縮されています。

そのどれもが客観的で残酷な人間の側面を描いたものであるのに、
どこか温かく、どこか憎めない。
大きな流れに抗う事ができずに流されてしまう人間達の、それでも
その一人一人が精一杯に見せる抵抗。
やるせないわけでもなく、情けないわけでもない、そんな諦めへの
温かい包容力。

個人の暮らしとその背景にある社会、歴史、壮大なバックボーンと
緻密な生活描写を矛盾させることなく、正確で明確に、客観的に主観的に
表現しきったこの短編集。

千年に一度、あるかないか、と言っても言いすぎじゃないと思います。
最近の読書。ダイジェスト!!GW終了、エンタメ編
☆池袋ウエストゲートパークGボーイズ冬戦争 石田衣良
面白かったですよ。いつもどおりかっこいいですね♪
でも出てくるサブキャラの男の子がかなりワンパターン。
あの少年計数記とかでもこんな子出てきたよねという印象。

☆鹿男あをによし 万城目学
GWのエンタメ系での一押し!!奈良京都を舞台にして日本の伝統的な言い伝えを
背景におきながら、爽やかな学園スポコンに仕上がりました!!
表紙を見たら話の流れが簡単に分る、というのもありますが、テンポよく、スムーズ
に進んでいく話の展開。ベタな話なのにベタと思わせない、ディティルの見事さ!
松尾芭蕉まで出してしまっているのに、まったくびびらない作者の心臓の強さと
自信、新鮮じゃないのにある意味新鮮。面白かったです!ご馳走様でした。

☆新訳 走れメロス 森見登美彦
この作者の作品はすごく最近の事を描写しているのになんかそういう感じが全然
しないのがまた魅力ですね。今回も古本屋のほこりっぽくかび臭い匂いがどこまでも
続いていく感じです。もう少し空気の入れ替えとか布団を干したりしたらどうでしょう
か?と老婆心ながらも言ってあげたくなります。

内容は・・・うん、くだらなくて面白かったですよ!!
でも、こういう森見的世界観と近代の文豪作品はとても食い合わせがいいと
思いますよ。

☆神田川デイズ 豊島ミホ

若いのにばりばりとエンタメ系で新作を書いていて、それでいてけっこうな高打率を
記録している豊島ミホ。個人的には「夜の朝顔」とかはあまり好きじゃないのですが、
これは楽しめましたよ♪
冴えない大学生活を送っている大学生たちが「このままじゃ・・」という思いを
抱えながら、それなりにその殻を破る作品。
自分も正直、冴えない大学生活を送っていたので、なんだか「そうだね。あんなもの
なのかもしれないよね」とふむふむと思ってしまいました。
なんだか悶々としている雰囲気がまたグッ!!皆さんがお好きな童貞大学生も
たくさん出てきますよ〜

☆ソウルズ 田口ランディ
短編集です。オカルトでも今回はハートウォーミング路線でしたが、
短編集のせいか、その「オカルト」的な部分にやや説得力に欠けるような
印象を受けました。少し、いや、けっこう物足りない。でも、このくらいの
軽さを狙った作品集なんでしょうね・・・

☆ああ、正妻 姫野カオルコ
このバカ奥さんがすごく不愉快で途中で読むのをやめようかと思いました。
「鬼嫁日記」なんか目じゃないですね。

☆建てて、いい? 中島たい子
適齢期のOL小説ですが着眼点がユニーク!!家を建てるということで、物語が
展開していきますが、それがなかったら角田光代あたりが書いてそうな気もします。
でも、「家を建てる」をテーマにした小説ってあまり思いつかない・・・
最近の読書。ダイジェスト!!GWも終わったよ☆純文学編
200705151343000.jpg

またまた久しぶりの更新でございます☆
前回の日記のおぞましいほどのTBの数に脅えを感じつつも、
最近の読書をまたまたダイジェスト!!
なかなかに内容の濃い自分好みの作品が多い素敵なGWでしたよ♪

☆きみのためのバラ 池澤夏樹
個人的に今月の一押し!!もともと池澤夏樹は大好きなので、点がかなり
甘くなってしまうことを差し置いても、やはりとても素晴らしい短編集で
あることには何のかわりもありません。

美しくて正確で透明感を持った文体もさることながら、何よりも素晴らしいのが
すべての物語に共通して描かれている「別れ」のかっこよさ!!
「別れ」を描いているのにも関わらず、まったく湿っぽさがなく、それでいて
その「別れ」が「関係者すべてが納得のいく爽やかで後腐れがないのにとても大切
な別れ」であること。
そんな密度の濃い別れを未練とか諦念にすり替えることなく、短い短編集の
中で丁寧に描くクール&ビューティのかっこよさ☆
「歴史」とか「言い伝え」とか「過去」を巧く使いつつも、それに対しての距離感の
取り方がさばさばしているからこそなりえた快作でしょう♪

☆めぐらし屋 堀江敏幸
池澤夏樹と同じベクトルの「丁寧で正確な日本語で人間を細やかに描写する
純文学」路線。大好きですよ☆こういうの!!
昭和チックなノスタルジーを匂わせながらも、日本語をすごく大切にしている
登場人物たちが物語り全体を通した淡い雰囲気を壊すことなく、それでいて話しを
展開させていきます。
うまく言えませんが、堀江敏幸の小説は色も音もない世界、そんな世界の中で
突然に浮かびだす淡い色彩とかすかな音、辛くもないけど甘くもない、日々の暮らしとは
こういうものだと伝えたいと思うのです。

☆ダーティワーク 糸山秋子
純文学とエンタメの匙加減が今回も絶妙な糸山秋子。「ダーティワーク」は
連作短編となっているため、一人称と三人称が絡み合うところ、主人公が
他の作品のサブキャラとして出てくるところ、そのため登場人物が増えすぎる
ところ、など読みにくいマイナスポイントはけっこう出てくるものの、この
作品もテンポがよく楽しんで読める作品でした。

「ダーティワーク」というタイトルの通りに「治るみこみのない病気」など
全体的に暗くて救いの薄いモチーフを取り扱っているのに、そんななかで
クローズアップする場所を変えて、また作品ごとのピリオドを打つ点を
工夫して「希望の持てる」印象に終わらせていて読後感がよくてとてもいいです☆

新しい挑戦ととっつきやすさ、糸山秋子は自分にどんな作品が求められていて
どんなふうに表現できるのかというのまでよく分かっておられるんだろうなぁと
感じました。

☆ピアニシモ・ピアニシモ 辻仁成
最近、個人的になんとなくあまり楽しめない辻仁成の作品ですが、あの「ピアニシモ」
の続編ときたら読まないわけにはいかないでしょう!!
「トオル」と「ヒカル」が戻ってきたんですよ♪でも「ピアニシモ」ももう細かい
所までは覚えていないや・・・なんか自分の分身みたいな男の子と自殺の瞬間とか
を見たがる話だったよね??また読み直してみます。

まぁ続編なんだから当たり前なんですが、そんな分りにくい設定をスムーズに
しみこんだまま話しを展開させて、辻作品では久しぶりに楽しめました。
ものすごく無機質で退廃的な中学校を舞台にしていて、「見えるもの」のなかに
「見えないもの」が唐突に混ざっていくのも、ほとんど説明がないのに強引さ
が感じられなかったです。
無機質で退廃的で強引で不親切で心が荒むようで、テーマもモチーフも文章も展開も
すべてが「そこそこマイナス」なのですが、物語り全体がすべて「そこそこマイナス」
なので逆に調和が取れていますね。
「灰色」という作品全部を通したキーワード、そのまんまの作品に仕上がっていると
感じました。もちろんいい意味でですよ!!

☆ハイドラ 金原ひとみ 
バイオレンス系まっしぐらの金原ひとみですが、今回は主人公の「無茶食いして
わざと吐きまくる」描写があまり多くないのに印象に残る。この「食べて吐く」という
動作はなによりも不健康な雰囲気を読み手に与えますな。かなり重度の精神への
ダメージが感じられます。
今回の小説は「自分が認められたい欲求」が全面的に押し出された小説だと
思うのですが、個人的にはもう少しページ数があったほうが・・と
あと、文章も少し粗い印象を受けました。

☆臍の緒は妙薬 河野多恵子
なぜか金井美恵子と勘違いしていました。戦争の頃の短い話でした。
すみません。それしか感じませんでした。本当に申し訳ございません。
最近の読書。ダイジェスト!!春満開!!
久しぶりの更新だぁ。
何度か更新しなきゃなぁとも思っていたんだけど、パスワードを
さっぱり忘れてしまうというおポンチぶり・・・ダメな時は
低い壁さえも越えられないものだね。うん。

というわけで、ブログには書いていないけど、いろいろあったんだけど、
そんなことは何も気にしないで、最近の読書ダイジェスト!!

心機一転、四月になったら、新しい気持ちで読書に臨めて、また好奇心を
刺激してくれる素晴らしい小説にたくさんめぐり合えましたよ☆

☆1000の小説とバックベアード 佐藤友哉
佐藤友哉の新作、かなり自分好みでした。
「子供たち怒る怒る怒る」など、今までもラノベと純文学を融合して、そこに
グロ風味を加えたような新鮮な小説を描いてきた佐藤友哉ですが、この新作は
よかったですよ。

文学というものを作者なりの視線で見つめて、「書き手」と「読み手」、「伝えたい事」
「伝わる事」、などの交錯、難しさを表現して、今までのスピード感、よい意味
での軽さを持ったまま、より深いテーマを表現した快作です!!

片説家という凝った設定も作品の主題にマッチしてすんなり立ち居地が飲み込め
ました。

☆変身 嶽本野ばら
カフカの「変身」のパロディをベースにしながら、美学を風刺したようなコメディ
作品。「シシリエンヌ」とか「エミリー」ではなく、「下妻物語」系のおバカエンタメ
路線ですね。いつも通り一筋縄じゃいかないところもありますが。

☆朝日のようにさわやかに 恩田陸
久井しぶりの短編集。テンポもよくブラックさも効いています。
そのまんま星新一とかそんな雰囲気。素直に楽しめます。

☆八日目の蝉 角田光代
福田和子・河原美代子レベルの凶悪女性犯罪者(誘拐犯)の話とそれに誘拐された女の子の
その後という話。
桐野夏生や柴田よしき、宮部みゆきあたりが描いたら、犯人、被害者、警察などの
様々な視点から描いた超大作のクライムノベルとなるところを、数奇な経験を
した二人の女性の胸のうちのみに絞った作品。また角田光代だから、読みやすく
柔らかな文体であまりぎすぎすしないで読めます。
ページ数も読み応えも弱いけれども、不思議と物足りない感じもなく、また
設定もすんなりなじむ事ができました。凶悪犯罪者も家庭で悩む主婦も同じ女性
だから、その苦しみなんかもあまり変わらないのかもしれません。したことは大きく
違っていても。

☆大きな熊が来る前におやすみ 島本理生
島本理生ってすごく真面目ないい子ちゃんなんだろうなぁと感じました。
たぶんA型ですね。知らないけれども。
この人が描く恋愛や人間関係の形はいつも「不満」や「問題点」が明らかに露呈
されているのに、主人公がそれを受け入れてしまうまでの過程を描いて
おしまいとなることが多いんですね。
自分、いつもこういうのを読むために「ええっ?なんで?」と思わずにはいられないん
ですよ。不満とか問題点なんてない関係のほうが少ないんでしょうが、それにしても
これは・・・だって、DVじゃないですか、これは。
自己主張があまりできなくて、いつも困難が近くにあると燃えてしまう
Sなタイプということでしょうか。なんでそんな苦しい道をわざわざ選ぶのかなぁ
と自分なんかは思ってしまうのですが、そんなことは島本理生の生き方には
余計なお世話なのでしょうね。

鷺沢恵みたいに妙に厳しい道ばかりを追い求めないで、もう少し楽に
生きてみたら?道はたくさんあるんだからと言ってあげたいです。若くして
デビューして何度もノミネートされながらも、芥川賞には届かなかった
ところなんかも被ります。それこそ余計なお世話でしょうか。

☆大人ドロップ 樋口直哉
「さよならアメリカ」「月とアルマジロ」など、頑なに「安部公房」路線を
貫いてきた若手、樋口直哉が描く、爽やかな青春ストーリー。
こういうのも書けるんですねぇ。文体の話ですが、皆まで書かないのにすごく
分りやすい描写が多いのが個人的には好きですよ☆肝油ドロップなんて何年
食べていないことか・・・

明日・あさってにでもまた続きを更新いたします。
直木賞も行ってみよう!!!
●直木賞

伊坂幸太郎(35)「砂漠」(実業之日本社)5

宇月原晴明(42)「安徳天皇漂海記」(中央公論新社)初

古処 誠二(36)「遮断」(新潮社)2

貫井 徳郎(38)「愚行録」(東京創元社)初

三浦しをん(29)「まほろ駅前多田便利軒」(文芸春秋)2

森  絵都(38)「風に舞いあがるビニールシート」(文芸春秋)2

わーい!直木賞のほうは「遮断」以外既読ですよ!感想は書いていません
が。でも、古処誠二の小説はあまり好きじゃないのよ〜。
ま、明日図書館で借りてこようっと。

映画化などで、時の人となっている伊坂幸太郎がゲットすれば、世の中
的にばっちりなのでしょうが。なんでしょうね。見れば見るほど、受賞
なんてできなさそうに思えてくるのが不思議でなりません。

それならば、二回目ノミネートの森絵都、古処誠二、三浦しをんあたり
にもチャンスが?と思えそうですが、森絵都なんかは「児童書の枠を
飛び出した、作者にとっても新しいレベルの作品集」と高評価され
そうですし、直木賞向きといえば、古処誠二なんかバッチシですし。

三浦しをんはテイストが軽すぎるので今回は、パスで。

山本周五郎賞の宇月原晴明もかなり他とかぶらないジャンルで、可能性
も充分!貫井徳郎はマイナスポイントはないけれども、プラスポイント
もないので、こちらはやや遠いでしょうか。

というわけで、エフマルは

◎ 森絵都
○ 宇月原晴明
● 伊坂幸太郎
▲ 古処誠二   で行かせてもらいましょう!




芥川賞を予想する。ら〜
●芥川賞

伊藤たかみ(35)「八月の路上に捨てる」(文学界6月号)3

鹿島田真希(29)「ナンバーワン・コンストラクション」(新潮1月号)初

島本 理生(23)「大きな熊が来る前に、おやすみ。」(新潮1月号)3

中原 昌也(36)「点滅……」(新潮2月号)初

本谷有希子(26)「生きてるだけで、愛。」(新潮6月号)初

およよっ。一作も読んでいないや。ま、別に気にしないけれども。

春に発表された新人賞の受賞者が無視されてしまう状況。ま、群像くら
いと言えば、そうなのだが。

糸山秋子や阿部和重みたいに分かりやすい大本命がいないのですが、
それでも五名を分析すると、

★ ノミネート常連者 伊藤たかみ 島本理生
★ 初ノミネート 中原昌也 本谷有希子 鹿島田真希

初ノミネートは全員、「遅れてきた新人」系ですね。
去年、三島賞ゲットの鹿島田真希は今後もノミネートを重ねそう
ですが、中原昌也と本谷有希子は「芥川賞」に納まらない純文学作家
という趣なので、ある意味向いていない感じです。

中原昌也は「芥川賞なんかもらったら、俺は駄目になるぜ」とか本谷有希
子は「メフィスト賞のほうがほしかったわ」とか言いそうな気がします。

鹿島田真希さんは初ノミネートに家族でお赤飯とか炊いて、祝ってそう
ですが。

で、こういう時に、やはり女神が微笑むのは、ベテランノミネート
組というのがセオリーですが、今回の島本理生、伊藤たかみ・・

うーん、どちらもやや弱い。って、読んでもいないくせに、そんなこと
を言ってはいけないのですが。
それにしても、前回の芥川賞が糸山秋子だし、去年もおととしもその前も
中村文則、モブノリオ、吉村萬壱とバイオレンス系が受賞しているし、

みずみずしい感性のゆるやかな日常系とバイオレンスセックスでどろどろ
ぐっちゃんぐっちゃん系(我ながらなんてくくりだ)が交互ならば、同系統
の糸山のあとなので、伊藤、島本はやや厳しい。

それでも、消去法で行けば、とりあえず伊藤たかみか島本理生のどちらか
で落ち着いてしまいそうです。

まったくもって積極的な理由はないのですが、鹿島田真希はあと三回
くらいノミネートされて「祝!受賞!!」となるということで。
最近の読書。ダイジェスト!!六月。
あいかわらずたくさん読んでいますが、感想を書かないまま
図書館に返却した物も多いのでダイジェストで!!!

「町長選挙」
面白かったですが、だんだん伊良部センセが善行をし始めてきています。
これ、よくある傾向ですよね。
「Mrビーン」なんかも、最初はやりたい放題いたずらをしていた
のに、だんだんいたずらで人助けをしようとしてからは*◆☆

「東京バンドワゴン」
これは好きです。小路幸也の小説のなかで今のところ一番好きです。
意識して書いているのでしょうが、昔ながらのホームドラマの
雰囲気がふんだんにあって、ミステリ色が薄いところが逆にまた
いいです。

「天使のナイフ」
すごくワクワクするエンタメ小説でした。被害者側加害者側の
痛みを300ページ程度の長いとは言えないページ数でうまく
表現しているなぁと感じました。
こういう「罪の重さ」小説は重くて長く書きすぎて痛々しさが
目立つものが多いのが最近、個人的には嫌だったので、気に入りました。

「途方に暮れて、人生論」
保坂和志は嫌いではないのですが。
エッセイを読んでいても、小説と同じような印象を受けてしまう
のはどうしてだろう。ある意味すごいですね。

「強運の持ち主」
最近、瀬尾まいこは自分好みじゃない傾向が強かったですが、これは
まぁまぁ好きです。
ビターさに欠けるのは相変わらずですが、丁寧に言葉を選んで描写を
練り上げているような文章が好きです。

「夜の朝顔」
小学生の頃のノスタルジィがつまっていますね。ほとんど同世代の
言葉が意外とツボです。エスタークとか。

他にもいくつか読んでいますが、とりあえずダイジェスト!!!
神の左手悪魔の右手  楳図 かずお
神の左手悪魔の右手 (1)
神の左手悪魔の右手 (1)
楳図 かずお
楳図かずおセンセの傑作、読了。

個人的なことを言いますと、これの一巻だけを先に読んでおりまして、
「錆びたハサミ」のみの長編ホラーミステリーだと思っておりました。

二巻を読んでみると、あれ?なんだか違う話。

登場人物が変わらない中篇連作集でした。あららららら。

しかしながらこの作品集すごいです。
話のキーポイントとなる、物体(錆びたハサミ、蜘蛛など)に複数の
意味合いがこめられてもいると思いますし、二つの世界(体内と体外、
夢と現、現世と死後の世界)などの描き分け、二重世界の関連性なんか
もばっちしです。

特にその二つの世界をつなぐ「穴」という存在の怖さはものすごいです。

蟲、体液、血液、スプラッタな描写は濃厚で気持ち悪いですし、好き好み
はかなりあるでしょう。

けれども、これはすごい骨太でメッセージ性もすごい。「エクソシスト」
なんかに引けをとらない一級の作品でした。

唯一難をつければ、やはり絵柄の旧さでしょうか。
特にアイドル歌手の描写は・・・60年代でしょう。これは。
ザーヒル パウロ コエーリョ
ザーヒル
ザーヒル
パウロ コエーリョ
さすがパウロコエーリョ!抽象的な概念、形而上学の世界を描かせたら
右に出る者はなかなかいません!

読みにくさ、歯ごたえ、堅苦しさ、分からないような分かったような
気分になるところ、なかなか日本の作家ではいない存在感とオリジナリ
ティが炸裂しております。

パウロコエーリョに特有なのは、人間たちの一般的な俗世間的な悩み
から離れた、超人的な存在を主人公に据えて、その場所からけっこう
何様のつもりとも思わせるような視点で話しをつむぎだしてくるところ
です。

わりと日本でも一般受けした「ベロニカは死ぬことにした」でも、
そういう高飛車視点がありましたが、今回も「別れた妻」というよく
出てくる登場人物?のみに目をとらわれていると、話の主題を何一つ
把握できないままで終わってしまいます。
別れた妻とのホレタハレタ、モトサヤ、慰謝料、なんかの泥臭い話
ではないのです。

正直な感想を言ってしまいますと、こうして今、自分が読み終わって
感想を書こうとしても、絶対に主題の半分も理解できていないです。
「ザーヒル」というものの分かりにくい観念もそうですし、話の筋
もどこが中心なのかうまく読み取れないままでした。

けれども、そんな自分のつたない読解のなかでも、この小説から感じ
たものは「翻弄とそれへの対処」でした。

自分なんかが言うのはおこがましいのですが、「安定と変化」の狭間で
ときたま襲ってくる今までの「安定」を崩してまででも従いたくなる
魅力のある「翻弄」。
それに対して、どうやって距離をうまく保って付き合えるか、それが
全編を通しての流れだったと思います。

以前に読んだ「11分間」だと、そんな哲学的要素よりも「なんかいやら
しい小説」という印象が強かったのですが、今回はそういったねちねち
した均衡状態の過ごし方の緊迫感がずっと途切れることなく続いていき
ました。

読んで面白いような本ではやはりありません。けれども、この
オリジナルな雰囲気を物見遊山的感覚で試してみるのも悪くない
はずです。本当にそれだけのオリジナリティはあります。
最近の読書。ダイジェスト!!
更新が滞ってしまいました。

それでも読書とCDは相変わらずでしたので、最近の読書をごそーりと
ダイジェストで紹介いたします。

「バスジャック」 期待して読んだのに〜。ただ単に説明不足なシュ
ールなミステリっぽい話しで終わっちゃっています。
軽い文体と不気味な雰囲気は好きですが。

「街の灯」印象が薄い。文芸賞作品。大人の二面性みたいなものに
不潔さを感じて抵抗する女の子の気持ちを、カーテンの中と外と
二面性を掛けて描写したにしても、この程度じゃエロさも不健全さも
やや物足りないような気がします。
でも、こういう暮らしぶりいいですねぇ。

「ペダルの向こうへ」 よかったです!安心して読めるエンタメ作家の
中堅どころです。ポスト荻原浩でしょう。正直に言って少し人間をそのまんま描いているところも、また逆に素敵です。

「シャイロックの子供たち」 前述の池永陽に経済色をつけたらこの人になるのかなというイメージです。
銀行のぎすぎすしたイメージと人間関係のこれまたそれに輪をかけた
ぎすぎす具合がいい調和です。
さらに最後「仕事ばかりじゃダメよ」みたいなテーマも今風ですね。
殺人事件にまですることはなったような気もしますが。

「アラミスと呼ばれた女」 あぁ。やはり宇江佐真理は苦手です。
江戸時代はこんなんなのね。女性は苦労したのね。くらいしか感想が
ないです。すみません。

「東京瓢然」 町田康はナイスですね。タイトルのとおり飄々とした
文体がとても好きです。
エッセイと同じようなものなので、深読みをすることはできないのです
が、この方の「世の中のどうでもいいようなことへの妄想」と「それに
対しての斜に構えたような語り口」は適度に緊張感を持って読み進めること
ができて、とにもかくにもいいです。

「ディアセイコ」 聖子フリークとしてよまさせていただきました。
「幻冬舎」あいかわらずやりますね。こういうこと本当にお好きですね。
内容自体は特にどうってことないですし、一時間かからないで読めましたが
この時代の頃に自分がやりたかった事を作者さんがしてくれていたよう
なので、楽しめました。

「不思議の国のトットちゃん」 徹子さんの文体は相変わらず優しい
ですね。どこかでもう聞いたようなネタも多いのも、まあいいでしょう。

「わくらば日記」 「かたみ歌」はあまり好きでもなかったけれども
これはわりと満足できました。
主人公姉妹と茜ちゃんのトリオがキュートです。
被害者や加害者の心の裏側もバラエティに富んでいて、飽きずに読み
進めることが出来ました。

「讃歌」 篠田節子お得意の芸術モノ。篠田節子はこういう系統の作品
を描く時に、固有名詞を「既存のもの」と「オリジナルのもの」を使い分
けているのだけどその基準はなんなのだろうと考えちゃいます。
許可の問題だけだったらすっきりするけど、なんか逆にがっかりかな。
悲劇的な雰囲気のまま話しは収束しますが、こういう芸術をテーマにする
と結論がほぼ同じテイストになってしまうのであまり好きじゃないです。

この話しも終わり方は「あ、自殺しちゃったの」みたいなあっけない印象だし。

「死後結婚」 今までよりもやや切り口を変えた岩井志麻子。途中までは
主人公たち人間模様や異界と人間界の狭間の様子が「リング」とかを
思わせる雰囲気で面白かったのに、韓国に飛んでからやや失速した気がします。

「さようなら、私の本よ!」大江健三郎の最近の小説はどうも話の内容が
うまくはいってこれずに、しかも章ごとに話が細切れになっていくので
小説の全体像としての興味を続けるのにすごく苦労します。

今回も全体像は読み取れないまま読了して、この鬱々とした文体と登場
人物の身辺描写や昔の作家へのオマージュらしきものをふむふむと
読んで終わってしまいました。うーむ。

短い文章の羅列となってしまい、言葉が足りずに感想に腹立ちを覚えられ
たら、どうも申し訳ありませんでした。

では、以上!ダイジェストでした!!