f丸の生態・デイリー

よく本を読んだり、たらたらかんがえごとをしている人のブログです。

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走ル 羽田圭介
羽田圭介って作家さんの「走ル」って本を紹介いたします。

ちなみにこの羽田圭介という方は、五年位前高校在学中に「黒冷水」という
兄弟がいがみ合う小説で文芸賞(綿谷りさと同じ新人賞)を受賞して
デビューした方です。

前作の「不思議の国のペニス」(改めてみるとすごいタイトルだ・・)も
含めて、引きこもり気味のコミニケーションが不得手な男の子の小説という
森見富美彦系の小説で行くのかなと思いきや、今回の小説は「走ル」。
タイトルの通り、走ります。家にこもることなく、走ります。

内容はというとひょんなことから、高性能なマウンテンバイクを手に入れた主人公
(高校生男子 陸上部員)がそんな気分になってしまったので、八王子の実家を飛び出し
て、学校もサボって、東京を脱出して、勢いのままに、目標もないままに、
北上していくというお話。
花村萬月あたりにも似たようなお話があったし、記憶に新しいところだと
「ハチミツとクローバー」で竹本くんが自分探しに北へ向かったとか、
もうそんな感じ。

ただこの小説、主人公がけっこうたいそうな事をしているのに、軽い。
そして、その周りの人たちの考え方もまた、軽い。

逃げられないような苦悩もなければ、どこまで行く、なんとかするとかいう
明確な目標もないままに、走りたいところ、行けるところまで行こうとして、
そして、気がつけば、いつの間にか、自分と周りの環境(学校など)を
比較しては、ぼんやりと見つめなおしたりする。

なんだか、そんな時代なのかなぁとぼんやり思ってしまいました。
あなたが、いなかった、あなた 平野啓一郎
あなたが、いなかった、あなた
あなたが、いなかった、あなた
平野 啓一郎

最近も相変わらずぱかぱか本は読んでおりますが、それでも、やっぱり
食指が動いたり、ぎょっとするものは純文学系でありまして、そんな中でも
平野啓一郎はやっぱりどこか毛色が違う作風をしていて、作風と言うよりも文章を
書いている立ち位置がもうほかとはかなり違うところなんだろうなぁと
思わずにはいられなかったりします。複文で読みにくくてすみません。

今回の連作集「あなたが、いなかった、あなた」も「フェカンにて」なんかだと
「完全につたわるコミニケーションなどない」という主題なのかなぁと思うの
だけれども、こんな設定にする必要はあるのかなぁ? と思わずにはいられないし。
「慈善」なんかも同じように「完璧な善行などない」という主題で、大変に
読みやすくて、しゃれている部分もあるくせに、逆に普通の人っぽくて
「この人はどっちに結局進みたいのだろう?」と思ったりしてしまいます。

とりあえず、「女の部屋」みたいなレイアウトを無視してまでの文学をする人は
今はこの方か中原昌也か筒井康隆くらいです。別に前衛的なことはかまわないけれども、読みにくいから、個人的にはイヤかな。
独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明
独白するユニバーサル横メルカトル
独白するユニバーサル横メルカトル
平山 夢明
こーれーはー、久しぶりにむちゃくちゃいい本を読みましたわー!!!
カテゴリーとしては不条理なホラーSF(ちっともカテゴリーとしてまとまって
いないorz)となるのでしょうが、純文学的なテイストまで含む広がりのある内容。

毒毒しくて、えげつなくて、救いはなくて、気持ちも悪くて、シュールで分り
にくい。カルトなホラー映画を無理やり絵本にしたらこんな作品になるのかな?
というような作品。我ながら、このたとえすごいな。客観的に見ると、
ものすごく分りにくい。けれども、たぶん読んだ方のほとんどがこのたとえで納得
してくれそうな気がしてしまう。

短編集なので、細かい内容には触れませんが、一貫して描かれているのは「不条理
な暴力の世界から違う世界へと脱出する人」という図式。
しかも、うまいことに、この短編集、順番に読んでいくと、脱出しようとする人が
少しづつ、遠くまで逃げられているのが、またうまい。

最初の「ニコチンと〜」では脱出を決意するも志半ばで倒れてしまうのにたいし
て、「Ωの聖餐」からはだんだんと脱出できているし。

ブラックでシュールで不親切なくらいに説明が少ないこの作品の「不条理な世界」
=「現在の人間世界」、「脱出しようとする人々」=「現在の人間の問題点に
気がついて、逃げ出した存在」と捉えて、「人間とは不条理な悪意を持ったもの
で、それに囲まれている一様な価値観の世の中への警鐘」と考えるのも間違いで
はないのかもしれない。たぶん、短編集全部に意味を求めるとしたらそうなるのだと
思う。

でも、それでも、このはっきりとしたオチを求めない構成、暗くて痛々しい描写は
それだけで、強いオリジナリティと「目を背けたいのに見ずに入られない」
フリークスのような強い存在感を持って、読むものを不安にさせる。
それだけでも十分な魅力を備えた小説なのです。

乙一、江戸川乱歩、夢野久作、舞城王太郎、このラインが大好きならば、確実に
おススメです!!



顔のない裸体たち  平野 啓一郎
顔のない裸体たち
顔のない裸体たち
平野 啓一郎
あの2004年にでた小説よりかは好きです。うん!
タイトルは失念しました。すみません・・またあとで書いておきます。

相変わらずの妙に仰々しい文体。でも、今回はそれが逆にただの
エロ小説にならないで成功しているんだろうなと思います。

「内省をしない人間」を描いているわけなのだから、この文体で
そういう説明を付け加えながら描かなければ、本当にただの
おバカなエロ小説になってしまうんでしょうね。

しかし、かなり上から目線で描写としては成立していないだろう
文章が多く、全体的にはやや読みにくいところが目立つ気も。
重松清の「疾走」みたいな視線を作ればまた別の見方が出来る
小説にもなったのかもしれませんね。

話の内容は「顔のない」というのが出会い系の世界の「自分とは違う
作られた存在」と「自分の内面に潜んでいる意識していない内面」
と重ねられて、そこがもてない男声の卑屈な性欲とかみ合ったと
いうところでしょうが。

こんなぜんぜんうらやましくないエロ話読んで、何が楽しいと
いう方もおられるのでしょう。うーん、そういうかたは純文学を
読まないほうがいいんでしょうし、それも言い尽くされてきたこと
なので今更どうこう言いたくもないですが。

それにしても、エロスをモチーフにしなければ、こういうテーマは
描けないのでしょうか?表紙もさることながら、一見ただのエロ小説
と勘違いして、前述のような方のアレルギー反応を増やしてしまうよう
な気にもなりますもの。
ルート350 古川日出男
ルート350
ルート350
古川 日出男
古川日出男の作品はいつも、読むときは。
 ]辰瞭睛討今一よく分からない
◆,韻譴匹發韻靴篤匹鵑任い討弔泙蕕覆い錣韻犬磴覆い里如読み
  進めてみる。
 そうしたら、読み終わってみて、タイトルなどとも総合すると話の主題  や全体像が見えてくる。

と言う楽しみ方なのですが、今回はややをうまく自分がつかみ取れなかった感じです。

古川日出男の小説は「視点」がいつも印象的に使われていて、場所として
動いたり、精神から身体、具体から抽象、物質から精神、個から集団
などと移動する過程を描いているわけです。

そこからは「どんな道を通ったとしてもたどり着くものは普遍で
同じだ」という解釈を導き出せるわけでして、今回の「ルート350」も
そういうことはびんびん伝わってきました。

今回は特に「お台場」や「TDL」など、「新しい場所」ができるまで。
を集中して描いてありました。そこに集まった人々、成立するまで、
そういうことをつらつらつらーと描いてあります。

それに「描くべき理由」を求めるのはたぶん間違っているのでしょう。
「場所」は小さくても大きくても、誰かには必要とされていて、そういう
意味ではどこも同じだ。というのが主題なのかなとも思うのですが、
それでもなんか今回は収まりの悪さみたいな物を感じて、あまり楽しめ
ませんでした。がっくし。
ウーマンズ・アイランド  林 真理子
ウーマンズ・アイランド
ウーマンズ・アイランド
林 真理子
うーん。「anego」と同じでしょう。これは。

唯川恵とは違って、林真理子はバブルからは抜け出しているように
読んでいて思えるのですが、なんか最近、深刻にどれも同じに
思えてきます。

ドラマで見たら、けっこう面白いんだろうなぁとは思いますが、
最近、自分、あまりドラマ見ていないんですよ。むぅ。
月とアルマジロ  樋口 直哉
月とアルマジロ
月とアルマジロ
樋口 直哉
新進気鋭の純文学作家の新作!登場!!

冒頭のアルマジロのコピーの説明を読むところ。
なんか「さよならアメリカ」にもこんなシーンあったねぇ。
張り紙がお好きなのね。

今回も匿名性を持った人間との付き合いで人間関係を浮き彫りにして
描写しています。あー、こういうのすごい好き。

アルマジロの「ニホン」という名前も大きく日本そのものを表現している
のですね。たぶん。そのうえ、眠ってばかりいるというのも、ニートが増
えている現状も重ねて投影しているのでしょうか?

でも、今回は結局、終盤にアルマジロでてこなくなるし、女性を
出すよりも最初の「決して仲がよくない友だち」を引っ張ったほうが
すっきりして面白かったかな。それじゃあ、作者の意図はずれてしまう
のでしょうか?自分の読みが足りないのでしょうか?

あと読んでいて無駄な描写が多いとも感じます。
自分もものすごくよく言われるので、大変に勉強になりました。ははー。
たびを 花村萬月
たびを
たびを
花村 萬月
こちらも長い小説でした。ニ段組で千ページ超えています。
けれども、花村文学の集大成の名に負けない力強い小説だったと思います。

日本一周の旅の中で、主人公がいろいろな人との出会いを通して成長する「深夜特急」系のロードノベルでした。

「王国紀」シリーズとは違い、かなり読みやすい文体。
「精神」「死」「性」などといった純文学的要素を旅の随所でふんだんに盛り込まれた内容。
景色の描写も爽やかで、人との出会いも唐突な印象をあまり受けない。

結局のところの主題は「人生とは旅のようなもの。そして、この日本一周の旅を通じて主人公はかなり密度の濃い人生の旅を経験した」ということなのでしょうが、読んでいてあまり説教臭くないのがまたグーでした。
虹とクロエの物語  星野 智幸
虹とクロエの物語
虹とクロエの物語
星野 智幸
面白かったです!バリバリの純文学でした!

読んで面白かった純文学は、読み終わりの時には「何言いたいんだかよく分からないな」的なぼんやりした気分になるけれども、それからなんとかがんばって深読みを続ければ、けっこう納得できた気分になれて「読んでよかった」感が強まるんですよ。自分的には。

そんな誰も聞いていないことは、まぁ、置いといて。

この小説は最初から最後まで「凝り過ぎているほどに凝った創り」をしているため、凝っていない部分を探すほうが難しいのですが、
個人的にとくに印象的なのは「ボールを蹴りあうことで、どんな他人よりも深くお互いの意思疎通をした二人の女の子」「無人島に孤独に暮らす吸血鬼の末裔のような男」「十八年間、胎児のまま産まれない子供(前述の男と女の子の子供?)」
といったところです。

これらの三つはどれも「孤独のつらさ」のわかりやすいイメージでした。
「自分は他者とは違う」ことに対する圧倒的な寂しさ、でもそれはある意味当たり前のことで、それを受け止められなかった、また受け止めることを許されなかった現状への不満。

さらにその「孤独」の寂しさは血によって次の世代にまで受け継がれて、二つの淋しい気持ちは「十八年間胎児のまま」の子供によって、引き継がれてしまう。
けれども、その胎児は孤独で淋しいはずなのに、妙に満足感が強く見える。
それはもしかしたら「他者」を排除しているだけの自己満足なのかもしれない。
けれども、それはただの自己満足ではなく、いつまでも母の胎内にいることができる、「母」を家族としての他人ではなく、「母と子供はかつて同じ体内にいた同じ生命」という認識で、いつまでももう一つの自分と一緒にいれることの強い幸せなのではないでしょうか。

孤独とそれをうまく解消する優しい気持ち。それは生命の肯定へとつながり、また冒頭に起きた「同窓会」のシーンは「時が消し去ってくれる幸福」なのではないでしょうか。

なんか、すごい偉そうな感想だ・・・
アッコちゃんの時代 林 真理子
アッコちゃんの時代
アッコちゃんの時代
林 真理子
「ロストワールド」の焼きまわしじゃないのか?と思って読みましたが、それがなかなかに楽しめました。
こんな内容なんてなにもないような小説を!と冷静に思っていた自分もいたのですが、まぁそれはそれで。

豪快に贅の限りを尽くした女性の華やかさで最後まで持たせた恋愛小説でした。
出てくる小道具もいかにもバブリーなものばかりで、それでいてあんまりうらやましく感じない雰囲気が全体を通していますね。

なんだか「あれもこれもバブルの時代の夢だったのよ。みんなバブルがはじけて消えてしまったみたいに、私がしたこともはじけて消えてしまったのよ。おとこなんてみんなシャボン玉よ」みたいなことが主題だと思うのですが、その割りに主人公のアッコはバブルの時代からその空虚な雰囲気に冷静な視点を持っていて、今に足を地をつけて生きている堅実な印象がなんとも心地いいです。

しかし女性週刊誌にこういう特集、本当に組まれそうだしな。