f丸の生態・デイリー

よく本を読んだり、たらたらかんがえごとをしている人のブログです。

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ぼくのメジャースプーン 辻村深月
ぼくのメジャースプーン
ぼくのメジャースプーン

うん。この小説も好きですよ。一部の方には「主人公小学生だもん・・」
などなどで苦手とする向きもあったようですが、自分はスンナリと。

テーマは「悪」の線引きなのでしょうが、そのへんはさすが小学生、
大変に分かりやすい言葉で描かれております。
たとえば最近「天使のナイフ」も読んだんですが、あれも「少年法」を
テーマにしているから、「悪」の線引きと読むこともできるわけで。

単純に比較してしまうのは問題はあるでしょうが、それならばリアルで
ニュースなどでも存在する「悪」よりも、こういう「悪」の線引きの
ほうが好きです。

最後の力を使うシーンも、それからのところも好きです。絵本とかが
でてくるのも、もともとあった辻村深月のイメージにはまってますね。

しかし、辻村深月のヒール役はどれも描き方が同じですね。
半分引きこもりで、頭はよくて、金は持っているが、人の痛みが
分からなくて、簡単に傷つけるストーカーみたいな若者。

うん、同じだ。
被爆のマリア  田口 ランディ
被爆のマリア
被爆のマリア
田口 ランディ
ランディ!素晴らしいよ。なんだか、感想を書きたいっ!と
つよく思わせる作品でした。

タイトルに「被爆」とあるように、戦争、それも広島と長崎限定を
絡めた中編集です。
ここでポイントなのが、この作品、どれもこれも全部、「戦争」は
完全に昔の出来事で、それが直接的にどうこういう話じゃないのです。
なんて言うか、「少年H」みたいな話じゃないとでも言えばうまく
伝えられるのでしょうかね?

例えば、一作目「永遠の火」においては「戦争」とはキャンドルサービ
スや仏壇において使われる「原爆の火」ですし、全ての話で「戦争」と
いうのは日常生活に埋没している暗い影なのです。

どの話も「戦争」を追いかけていく流れに沿って、主人公たちは
自分の現状の不満などを明確に認識したり、受け入れるようになる。
そんな展開です。今までのランディとはちがって、「異界」などが
出てきません。性描写も暴力描写も派手なところはほとんどないです。

特に「被爆のマリア」の親切な森君なのが、何も変わっていないはず
なのに、印象が悪くなるところ。ここの描写がすごく好きです。

森君、森さんなどと使い分けるところ。心の中で何回も「お金を貸して」
とつぶやくところなど、また、素晴らしい。
恋はさじ加減  平 安寿子
恋はさじ加減
恋はさじ加減
平 安寿子
二十代・三十代女性の恋愛と仕事を描く作家、平 安寿子。
まぁ、この方も強引に言ってしまえば、ポスト山本文緒、唯川恵。
そんな平 安寿子さんの食をテーマとした短編集です。

なんか、この小説に起こる恋愛を食べ物で解決してしまう姿勢が「美味
しんぼ」チックです。

かるーくサクサク読める作品集。重いことは何一つ書いてありませんし、
ページ数もそうやって読み進めるのに適度な量。

いい加減なことを言っているようにも聞こえるかもしれませんが、スト
レス解消の読書には最適です!
聖少年 檀上 りく
聖少年
聖少年
檀上 りく
援助交際を行っている男子高校生モノ。って、そんな内容を「モノ」
って恋愛小説とか推理小説みたいに強引にカテゴライズしていいのか
って問題もあるのでしょうが、それでも男子援助交際モノ。
それだけで勝負ならば、ややインパクトには欠けるのでしょうが、
十分に面白かったですよ。

それはいい意味で一般的な「男子高校生」モノの内容を裏切っている
部分が多いからでもあると思いました。

この主人公も普通ならば血も涙もないとても嫌な奴みたいに描かれる
であろうところを、確かに嫌な奴だけれども、別にそれほどでもない。
話のわりと早い段階で、心を少しづつさらけ出しているようだし。

けれども、殺人に対してのトラウマやドラッグの悪効果、子供を思う
親の感情など、普通ならばこれで一本丸々いけるのではないかという
ネタにほとんど触れられていないとも思いました。

でも、それも、別に悪くないとも思います。だって、それをやってしま
えば、話の味わいが今までのと同じになってしまうようにも思えるし。
凍りのくじら 辻村深月
凍りのくじら
凍りのくじら

辻村深月という作家さんは本当に「他人と違う寂しさ」というもの
を絶妙なポイントで表現する作家さんですね。

この主人公も「自意識が強く、他人と意識して距離を保った付き合い」
しかできない綿谷りさ系のピュアな文学少女ですね。
しかし、書いてみて思いましたが、本当にこの人はラノベの綿谷りさ
ですな。島本理生とかよしもとばななだと、そういう気持ちに御託を
並べる前にとりあえず恋愛をしていて、寂しさには自分のことなのに
無頓着で具体的な言葉で語ろうとしないという感じですし。

山田詠美(初期)とか金原ひとみだと、ただ過剰に人と違う分かりや
すいことをして、そんなに饒舌じゃない。手に入りやすい強い刺激
を求める感じなのに対して、このセンス。

素直に淋しいとか哀しいとか言えばいいのに、SFだとか凍りの
くじらだとか言ってしまう、文科系女子なセンス。

簡単な強がりとか責任感じゃなくて、たくさんの言いたいことや
守りたいこと、自分の気持ちをごちゃごちゃにしてしまった結果
こういうような形になってしまう不器用さ。

そして、そんな自分が凍りのくじらみたいなんですよ。そりゃ、本当に
すごいセンスです。

多恵さんは「坊ちゃん」の清みたいに優しいし、郁也も小さいのに
すごい我慢していろいろなことを抱えているし、若尾のダメダメぶり、
別所の存在感。キャラクターも素敵です。

今までの辻村作品は謎的要素がいつもありましたが、今回はそれも
やや薄く、寂しさの糸を切れないように我慢すること、そしてそれが
ぷつりといってしまった時、そしてそのあとに待っている癒しという
純粋な優しい小説だと思います。

ラストの山奥のシーンなんかも、そういうファンタジーみたいですしね。
銀齢の果て 筒井康隆
銀齢の果て
銀齢の果て
筒井 康隆
面白かったです。

簡単に言えば、老人版バトルロワイヤルなのに、
最初から「イミテーションですよ〜」と言っているような
姿勢が飄々としていてすごくいいです。

老人に対しての問題もけっこう描いてあるし、その上
それらのスタンスが「もう、どうせなに言ってもだめじゃ
ろしね」という雰囲気なのもまた、好きです。

男性の第一人称は「俺」ですし、けっこうグロエロもあって、
昔の筒井康隆テイストもほとんどそのまんまです。


暗さ、明るさ、深刻さ、軽さがすべて絶妙に混ざり合って
いて、そこがやはり一番でした♪



シシリエンヌ  嶽本 野ばら
シシリエンヌ
シシリエンヌ
嶽本 野ばら
素敵です。野ばらちゃん、トレビアンです。美学が爆発しています。
小道具の一つ一つにいたるまで、つきいる隙がないです。

「筈」とか「貴方」といったまず使わないであろう言葉まで、作品の世界観をよく表現されていて筋金入りです。

過剰なくらいのエロイ性描写、残酷とか犠牲をバックボーンとした
美とその美意識。現実感がまったくない、浮世離れしたありえない設定。
それは今までの「野ばら」小説の世界観となにも変わっていないのですが、
それでもこれが今まででいちばんそれに対して妥協がないです。

いつもなら、それがすごく目立って浮く、洋服のブランド名も
今回は決して少なくないのに、あまりうるさくなく、そこも世界観の
クォリティの高さに結びついているように思えます。
夜市 恒川 光太郎
夜市
夜市
恒川 光太郎
日本ホラー大賞はかなりf丸的にははずれがないです!
「姉飼」「白い部屋で月の詩を」なども大好きでしたが、それらの流れをうまく取り入れて見事な形にしています。

テーマは「生の残酷」でしょうが、ジャパニーズアシッド、子供の頃に感じるノスタルジーなんかを随所にちりばめて、幻想的な描写を細やかに表現していて、ものすごく奥の深い世界観が完成されています。

登場人物のキャラクター、設定も巧みですし、そこに吸い込まれてしまったまま、出ることができなくなってしまうようなおびえる感覚は「江戸川乱歩」の雰囲気にも通ずる物を感じました。

このまま朱川湊人みたいに「昔はよかった」的なノスタルジーに逃げることなく、残酷でいい意味で無責任なホラーを書いて行ってほしいです!

直木賞はそうするとやや遠ざかるでしょうが、個人的にはそういう小説が大好みです!!!!

永遠の旅行者 橘 玲
永遠の旅行者 (上)
永遠の旅行者 (上)
橘 玲
うん。面白かったです。
税金を払わない方法がどーのこーのとあったので、そういう話なのかな?と思ったら、そうでもなかった。
けれども、登場人物たちはなんかこじゃれていて、少し「四日間の奇蹟」みたいに優しいし。長さもあまり感じなかったし。

あれ?思ったよりも感想に書くような事柄が、ない。

あれ?本当に面白かったのかな?むむむむむむむ???
小さな白い車 ダン・ローズ
小さな白い車
小さな白い車
ダン・ローズ, 金原 瑞人, 田中 亜希子
今、かなりお気に入りの作家さんです。ダンローズです。
今回の作品もまたシュールです。そして、また悪趣味といえば悪趣味です。
けれども今回はどことなく軽いタッチで、今まで持っていたその「どことなく読者を不安にさせてしまうようなアンバランスさ」というものが鳴りを潜めたという味わいになっています。

内容はなんだか相変わらずぶっとんだ登場人物のみなさま。特にヘロイン常用者の女の子ベゥエロニクがラリって車を運転しているあいだにダイアナ妃の乗ってた車を事故させた(という幻想を見て)、あーだのこーだのして、泥棒をしたり、「ロンドンに行って足の小指を切ってもらいに行ってくる」とか言い出す、けっこうとんでもない小説です。

そこは以前の「ティモレオン」とかと味わいは同じようなものとも言えるのですが、ただ前と違うのが「ティモレオン」や「コンスエラ」では「真剣な愛」という縦筋がかなり固く見えたのに、今回はそれがかなりふにゃふにゃして不安定で見えにくいということです。

ですので「教訓」とか「テーマ」みたいなものは自分はうまくこの小説から発見できませんでした。それは「小説」というものの読み方から外れているという意見の方もいるかもしれません。

でも、自分はこのフランスのこじゃれた高級なお菓子みたいな味わいの文章とそのコメディっぽいセンスと分裂症気味な雰囲気、それだけでもう十分に満足・堪能した気分なのですよ。