f丸の生態・デイリー

よく本を読んだり、たらたらかんがえごとをしている人のブログです。

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芥川賞最有力候補 柴崎友香 その街の今は
その街の今は
その街の今は
柴崎 友香
十月頃に借りて読んだけれども、特にこれといった感想を持たなかった
「その街の今は」柴崎友香を再読してみましょう。
芥川賞最有力候補の呼び声が高いですから。
図書館に行っても誰にも借りられていない「その街の今は」。明日になったら
予約が殺到するのでしょうか。なんて世知辛い世の中。
ま、最有力候補だから、借りなおした自分は全く人のことを言えないのですが。
140ページくらいだから、するするっと読めた。明日には返却しますからね。

感想  正直、面白いような小説ではないですね。物語の起伏も全然ないし、
灰汁の強いキャラクターもいない。最近の芥川賞によくある「淡々とした日常系」で、
長嶋有、吉田修一、大道珠貴ライン。ただ、それと確実に一線を画しているのは
「新しい人間関係」を描いた小説ではないというところ。

タイトルにもあるとおり、この小説の主人公は人間じゃなくて「街」。大阪の街の
移り変わりを客観的な描写で淡々と描いた物。
今までにあった小説とリンクさせるならば吉田修一の「パークライフ」。公園を
人体にまで昇華させて、関連させたあんな感じ。物語中に何度も出てくる「昔の
大阪の白黒写真」。それが、現在の大阪の街とおぼろげにつながっていくという
場所ありきの小説ですね。

複文が多く、大げさに飾り立てているような町の情景描写、登場人物たちのあまり
印象に残らないような会話。正直、話全体を通してみても、そんなに存在感の
あるものがなく、するするっと読み進められる。この小説の中でいちばん存在感
が強いものは昔の大阪の白黒写真。

メッタ切りコンビのお二人が言っていたような気がしますが、この小説の主題は
「街」でも、すべての時代において街は等価であるということなのでしょう。

すごくうまく言えないし、分かりにくい事を言うようで申し訳がないのですが、
例えば、私的な意見かもしれませんが、テレビとかで昔の映像、戦争中などの
光景、が白黒で流されているのばかりを見ていると、戦争中の時代にも
そこには必ず色があるはずなのに、なぜだか白黒の状態でしか戦争中の光景を
思い描けないというようなことがあるんですね。

そういうように、どの時代にも必ず今と同じように、生活や感情が通っているのに
「現在」から「過去」を振り返ってみると、それを想像することがやはり難しく
なってしまう。確かに昔経験した事でも。びっくりしたくらいに。

この小説では「今、現在の大阪」をそんなふうに印象薄く描いて、過去の白黒写真
を何度も存在感を強めて登場させる。そうすることでいつの時代でも「今」と同じ
ように街はそこにあって、存在していたんだよという、忘れがちな真理を描写して
いるんだと思いました。
絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男" 笙野 頼子
絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男
絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男
笙野 頼子
うーん・・・自分は笙野頼子のいい読者じゃないんだろうなぁ。
読み終わったあとにつくづくそう感じました。

笙野頼子はほとんどありとあらゆる意味で自分の小説のスタンスを
分かっているんですよね。
「私〜どうせこんなブ○だし〜年○りだし〜こんな訳が分からない小説
描いているし〜でも、いいもんっ。分かってくれる人だけに描けば。
それもすべて完璧に!」という叫びが本書を読んでて聞こえてくるよう
でした。

純文学的スタンスで言うならば、こういう「文学の極北」に位置する
ような作家の作品が「分かっているけどこういうもの書いているんだっ
てばー」と叫ぶ事は意味があるでしょうし。
そういうスタンスで言うのならば、物見遊山的な気分で「うわっ。噂
には聞いていたけれども、この作家さん、なんか妬みそねみばかりで
わけがわからないぞ!」という読者が受けることも想定内でしょう。

「」を使う表現に対してとか作家そのものから読み取ろうとする事、
それらは作品そのものだけから読み取らない現状に対する憤りで、
自分そのものを守ろうとしてさらけ出そうともしている笙野頼子その
ものを決め付けずに読むことがこの作品のいい読み手なんだろうなぁと。

長くなってしまいましたが、それならば「へー。こんなものもあるんだ
ー」的感覚で、読んだ上に、「メタファーで読もうが読まないがどうでも
いいじゃん」としっかりメタファーで読み進めているくせにそう思うう
えに、「でも今回のはカニバットとか金比羅と比べて、読みやすくて
おもしろかったよ」と感想を持ってしまう自分は確実にダメダメなので
しょうね(汗)反省。
もしも、私があなただったら 白石 一文
もしも、私があなただったら
もしも、私があなただったら
白石 一文
良くも悪くも説教臭い話の内容と、それを中和するおしゃれな文体が
特徴の白石一文新作です。

こんな新作もI宮市のT図書館では誰も借りずに残っておりました。
文化って衰退するもの?

それはともかく、今までの白石作品はページ数が四百前後でその分内容
も人が死んだり、仕事で辛い目にあったり、命の重さや働く事の意味、
家族とは?結婚とは?とくどいくらいに重くて暗いのに、今回、ページ
数が二百ページになってしまったら、話の内容の重さも50%オフという
感じでした。

説教臭さもその分50%オフだが、面白さとかも50%オフでしょう。

きみの友だち 重松 清
きみの友だち
きみの友だち
重松 清
すごく胸にそして全身に染みこんでくる作品でした。
小学中学生の残酷な人間関係を巧みに描写した比喩表現、そんな生徒たちを包み込む柔らかな語り口。
いじめだとか障害とかそういったナイーブでデリケートな事柄をどこにもトゲを作らずにほんわかとあますところなく書ききった優しさの結晶みたいな短編集だと感じました。

この小説を強引に分類すると「学園モノ」となってしまい、さらに細かく分類すると「イジメ」もしくは「闘病モノ」となってしまうのでしょう。
どちらかと言えば後者の「闘病モノ」の色合いがかなり強く、見ようによっては「セカチュー」とかと同じになってしまうのかもしれません。

けれどもこの「きみの友だち」では「みんな」から弾かれてしまった恵美と由香の二人の淡々とした厚い友情を、他の一時期「みんな」からはじかれてしまった生徒たちを中心に温かくけれども客観的に描かれています。
だって、堀田ちゃんも西村さんもハナちゃんも結局は「みんな」に戻ってしまうんですもの。

読み終えたあと、「由香と恵美はどんな気持ちで毎日暮らしていたのだろう」とぼんやり想像してしまいました。

来年、お互いが違うクラスになったらどうしよう?
もしもどちらかが明日休んだらどうしよう?

などと悩んだのでしょうか? でも、たぶんそれは違うのでしょう。たとえ学年全体でも学校全体でも由香と恵美は「みんな」から弾かれたままなのだから、二人はそういうことにおびえていたとしても、たぶんあまり動じないのでしょう。

ただ、近い将来に確実に訪れる「由香が死んでしまったらどうしよう」それを暗い気持ちで見続けていたのでしょう。

クラス全員の女の子たちが星になったとしても、どこの星座にも入れてもらえない。
カメレオンになったとしてもどんな色にも変えることができない。

かつて恵美もそこにいた「みんな」には戻れない絶望、でもそれと引き換えに得る事ができた由香とのもこもこ雲の友情。

達観したような寂しさ、そしてその後の立場から「あの頃」を見た構図。
特に「ふらふら」「花いちもんめ」「君の友だち」はただただ絶品です!
激流 柴田よしき
激流
激流
柴田 よしき
最近、ちょっと自分はいわゆる「エンタメ」とされるような作品を楽しめなくなっています。
もちろん、それは別に個人の自由でかまわないとも思うのですが、以前なら面白いと思っていた、殺人事件やらなんやらというようなすごく雑なくくりのエンターテイメントにもつい物足りなさのようなものを感じてしまうことにうれしいような淋しいような気持ちがあります。

そんないらん自己分析はおいておいて、そこで柴田よしきの新作「激流」です。そんな中でもコンスタントに新作をチェックしている作家さんですが、
個人的にはやや当たり外れのあるという印象は否めないのですが、この「激流」はかなりのアタリでした。

だいぶ長いページ数でも、「この謎のメールを送っているのは誰なんだ?」という主軸がほとんどぶれない作り。少し長くなってきて興味がやや薄れてきた時に、また次の人にメールが来るとこや、登場人物の裏側を少しづつ見せるなどダレさせない工夫がものすごく徹底されていると思いました。

急に過去のことを思い出したり、昔の知り合いを出してきたりという、若干強引な展開も見られたものの、そこがほとんど欠点と感じさせず、逆にうまく話しを袋小路から救っているとも思えました。

ただ・・・難点は・・・もう少し短くもできるよなぁ、というくらいでしょうか。

しかし、かなり骨太なミステリ系の大作であることには言うことなしのお墨付きです!
ホームタウン 小路 幸也
ホームタウン
ホームタウン
小路 幸也
小路幸也の基本は「少しゆるい殺人事件」+「温かい未来への希望」だと思います。
いつも思ってしまうのが、かなり凝った設定がわんさか出ているのに、それがたくさんでているからなのかどうかは分からないのですが、けっこう途中で別にたいした事じゃないような気になってしまいます。
今回ももっと昔のトラウマをくどいくらいに出してくれたほうが少なくとも自分好みだったかなと。

はい。自分の読み方が悪いです。すみません!
厭世フレーバー 三羽 省吾
厭世フレーバー
厭世フレーバー
三羽 省吾
三羽省吾。「さんわさん」と読めばいいのでしょうか?それはともかく。

「厭世フレーバー」というなんだか椎名林檎のアルバムのタイトルみたいなこの小説はなかなかに好きです。大好きとまでは決していかないのですが。

崩壊寸前の家庭を五人の立場から見て、ああでもないこうでもないともちろいん厭世の味がするので、けっして爽やかで爽快な生き方ではないのですが、それでもなお崩壊しかけの家庭の彼らひとりひとりは、少なくとも自分たちの自意識は「思ったよりもまとも」で、踏みとどまろうとしているのですね。

この小説の好きな理由を一言で言うと、なんだかダメ具合、斜に構え具合が自分好みで好きなのです。

人生はたまらなく面白いわけでも、どんなに辛いことがあっても頑張れ!涙の数だけ強くなれるよ。とかそんなこと言わないようなスタイルが。
かたみ歌 朱川 湊人
かたみ歌
かたみ歌
朱川 湊人
新直木賞作家の新作、早くも登場〜。
いいか悪いかはともかく、「花まんま」と恐ろしいくらいに同じ路線です。
昭和四十年代くらいの商店街のくすんだ空気みたいな雰囲気、人の死と不思議な体験(とりあえずこの「かたみ歌」では一貫して幽霊)、オチでほっと温かい気持ちにさせてくれる浅田次郎的展開、「いいじゃないのしあわせならば」とか歌のタイトルが出てくるところと、関西じゃない?ところ。それ以外はほとんど同じです。
もし、出版社の誰かがいたずらして、「花まんま」と「かたみ歌」の一遍を入れ替えても、だましとおせるかもしれません。
同じ作者なのだから仕方がないと思っても、そう思うとタイトルまで似ているような気がしてしまいます。

けれども、f丸は「花まんま」はけっこうお気に入りなので、この作品自体は十分に楽しめました。はっきり言いまして、かなり堪能しました!!

けれども、次回作品もこういうノリならば、すごくえらそうなことを言ってしまいますが、なんか飽きちゃったように思えてしまうと思います。
その日のまえに 重松 清
その日のまえに
その日のまえに
重松 清
重松節大ど真ん中!

「その日のまえに」は「大切な者とその死」という普遍的なテーマの大ストレートな直球の文句がないお手本みたいな作品だと思いました。ひねくれちゃんなf丸が言うんですから間違いないです!たぶん・・・

重い病をわずらい余命をいくばくもなくしてしまったものの、死への恐怖、残してしまうものへの気配り。
その残されてしまう者への嘆きと最期への思いやり。

そんな人生での突然な終焉に近い場面での人と人との交差する悲痛な温かさがうまく重なり、それでもそれがやはり泡と消えてしまう場面をファンタジーに頼らず、そのまんまどんと出された素敵な作品でした。

死んでしまう日のことを「その日」と言いかえるオブラートに包んだぼんやりとした優しさが、涙よりもうらやましい関係に思えてただ切なくなってしまいます。
そして、その日のあとのみんなの様子もほのかに描かれている手法も相変わらず二度おいしくてまた素晴らしかったです。よかった。
退廃姉妹 島田雅彦
退廃姉妹
退廃姉妹
島田 雅彦
この小説を読んだあとの読後感はすごく満足して充実したものでした。
あっ、読んでみてすごくよかったなと心底思えました。
自分としては魅力的な女四人が才覚を活かしての細腕繁盛記みたいに読んで面白かったのですが、彼女たちの倫理観、職業意識、他人に対する考察などのミクロな認識でみても、どきどきするものがあるところにもものすごく気の利いたおしゃれなセリフでそちらにも引き込ませてくれて、すみからすみまで文章というものを楽しむことができました。

有希子は保守的なほうで久美子は前進的なほうで負けん気が強いし、祥子はほんわかした家庭的な雰囲気だし、お春も芯が通っていて四者四様全員が魅力的です。

ただ、このいわゆる「娼婦」という職業を女たちが活き活きと行うというそれだけのことでけっこうたくさんの人たちが嫌悪感を感じてしまうのだろうと考えると、それが個人的には残念でなりません。

勘違いされてしまうかもしれませんが、少なくとも自分にとっては、アメリカ軍人に抱かれて、敗戦国の貧しさを尻目に華やかに華麗に「退廃」の中を舞う彼女たちは優雅で魅力的な「バタフライ」そのものでした。

華麗で優雅で、それでいてどこかうしろめたい罪悪感や気だるさを拭いきれないその退廃姉妹は爆発的にエロティックでコケティッシュでそれでいて一生懸命でたまりませーん!!!!!